いろいろな電線のとめ方

スポンジ入りの厚手の両面テープを使う方法やその他の方法を紹介

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傘ラジオに使う電線を傘に固定する方法を紹介します。

傘ラジオの作り方テキストではセロテープで貼り付ける方法を紹介しています。家に最もありそう、或いは最も入手しやすそう、ということでセロテープで説明しているのです。ですが、傘ラジオの諸々の実験では、その時々で色々な固定法を試しています。例えば、シリコン汎用ダイオードを使って検波の実験(2007年9月)で用いた傘ループアンテナのビニール電線は両面テープで固定したものです。この他に、傘の生地と同じ素材で電線をサンドイッチにして、熱溶着させたタイプ、水回りの充填剤「バスコーク」を用いたタイプ、骨だけの傘にナイロンの線で電線を結びつけるタイプなどがあります。

両面テープで電線を固定


両面テープで電線を固定するときは、スポンジ入りの厚手の両面テープを使う必要があります。これなら貼り付ける面に電線がきれいに沿わなくても、隙間が出来にくいので都合がよいのです。最近は100円ショップでも常備されていますので、以前から比べれば随分入手しやすくなったのではないかと思います。ここで紹介するのはそれを更に改善したものです。

まず最初に両面テープを沢山切り出しておきます。シールの台紙を取っておいてその上に貼り付けておくと作業がやりやすいです。

次に両面テープを傘に貼り付け、ビニール電線をその両面テープの部分に貼り付けていきます。

電線を巻き終えたら、両面テープの粘着面を覆います。ここでは、両面テープと同じ幅のリボンを見つけたのでこれを用いました。

このとき、ビニール電線の箇所ではリボンが電線の周囲を回り込むようにし、電線と電線の間ではリボンが粘着面にぴったり付くようにする必要があります。傘の生地の下にひざをあてて、ラジオペンチで押さえつけていくと凹凸をくっきりつけることが出来ます。

電線を固定し終えた状態です。電線部分を拡大するとこのようになります。

この傘ラジオは色々なダイオードを試す演示用のラジオとして製作したものです。


両面テープによる別の例


これは、シリコン汎用ダイオードを使って検波の実験(2007年9月)で用いた傘ループアンテナの例です。上の例とは違って、傘の骨の上に1片ずつ両面テープを配置した形になっています。

全体はこんな感じです。

傘ループアンテナにするとこんな感じです。両面テープの粘着面にはセロテープを貼り付けています。


アルミ紐の例


これは、アルミホイルを電線代わりに使うで紹介した方法です。アルミホイルを握りつぶして紐状にします。傘の骨の上に1片ずつ両面テープを配置して、そのアルミ紐を貼り付けていきます。

アルミ紐は、両面テープを用いるのが作業性の面で一番良いのですが、一度付けたのを剥がすとアルミホイルが敗れてしまいます。これが唯一の難点です。巻いている途中で、アルミ紐の他の部分が別の骨の両面テープに予期せずくっついてしまうこともあります。これを取ろうとしたら紐が切れてしまったということもあります。ですから、両面テープの剥離紙は最初に全部剥がしたりせず、巻きながら少しずつ剥がしていきましょう。

アルミホイルを握りつぶし、慎重に両面テープにくっつけるのですから、なかなか大変な作業です。 大勢で協力してやるとそんなに大変ではないのですが、一人で作るとなるとかなり時間と手間がかかるのではないかと思います。

傘ループアンテナにするとこんな感じです。これも両面テープの粘着面にはセロテープを貼り付けています。もちろん、リボンで留めることもできます。

熱溶着による方法


この方法は手間はかかりますが、究極の固定方法ともいえます。傘の生地と同じ素材で電線を挟み、熱を加えて溶着するのです。

半田コテのコテ先オプションで、ギザギザのローラーが付いたものが売られています。これはビニールなどを溶着するためのものです。これを利用して、熱溶着で電線を固定します。

まず、傘の壊れたものから生地の部分を切り出して取っておく必要があります。傘の生地は塩化ビニールやPOE、EVAなど何種類かのものがあります。溶着する上下の素材は同じ素材でなければいけないからです。

広げた状態を見るとこのようになります。 電線の位置が安定しますので、きれいな仕上がりです。

ビニールが厚くなったことと、広い範囲にわたり電線が固定されたことの影響で、傘をたたむとこのようにゴワゴワになってしまいます。 とは言え、広げたときの形状再現性は素晴らしく、この傘ループアンテナは2006年に製作してから現在に至るまで、さまざまな測定の折に使用しています。

モノヒラで結ぶ


ビニールが破けた傘の骨の部分だけを使って電線を巻くこともできます。モノヒラ(モノフィラメント)と呼ばれる電線結束用のひもを使って電線を傘の骨に結び付けるのです。用いたのは大洋化成のビニール結束線です。

これは全体の様子です。骨組みだけでスカスカのまさにスケルトンな感じの傘ラジオになります。 こういうタイプの傘ラジオはイベント編の中でも紹介していますが、それと同じで、この傘ラジオも骨だけなので風に強いという特徴があります。

左の写真は2010年に展示用に作ったときのものです。電線部分の固定はかなりしっかりしていて、2013年には先に柄のところが壊れてしまいました。もちろんラジオとしての機能には何の問題もありません。