アルミホイルを電線代わりに使う

性能はビニール電線と同等

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粘着剤がついたアルミテープは、傘に貼り付けるとき便利ですが、細く切り出すときに鋏に粘着剤が付着し切れ味がすぐ悪くなってしまいます。ですから少し切っては刃を綺麗に掃除し、切っては掃除し、の繰り返しになります。このため思いのほか製作に時間がかかります。

また、入手性もあまり良い方ではありません。そこで、普通のアルミホイルを使った方法を再度紹介します。

傘ラジオは「日用品でラジオを作ろう」が原点です。普通のアルミホイルを使った方法は傘ラジオを考案した当初から試しています。それが たわしダイオードラジオ(2000年) です。これはただでさえ千切れやすいアルミホイルを長く切り出して、しかも細く畳むので手間がかかります。具体的な方法は ここに あります。

最近になって、このアルミホイルに関し、あることを思い出しました。2001年に学生にこれと同じものを作らせようとしたら、学生が途中で畳むのが面倒くさくなって、握って紐状にしてしまったのです。そのときの写真が 旧傘ラジオホームページのこれ です。いくつかの班で、様々な素材、様々な長さでループアンテナを作りました。アルミホイル班は時間がかかってしまったので、握って紐状にしたのでした。(写真は握りだす前)

今になってみると、これも一つの解ではないかと思えてきました。


アルミ紐の作り方

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幅25cmのアルミホイルを幅8cmくらいに切り出します。全長が約25mとなるよう途中で折り返す必要があります。以前紹介したとき、アルミホイルの長さは8mだったのですが、今はダイソーで長さ22mのものが売られています。この長さなら折り返し無しでそのまま使えるかも知れません。ということで、早速やってみることにしました。

これは、アルミホイルの幅が約8cmとなるよう、カッターナイフで切っているところです

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今回は折り畳むのではなく、このようにアルミホイルを握ってひも状にします。

しっかり握ると直径3から5mmのアルミ紐が出来ます。

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一度に硬く握ってしまうと破れてしまいます。50cmくらいの範囲にわたり徐々に細くするようにしてください。

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今回は廊下にまっすぐ伸ばして作りました。アルミホイルの長さは22mですが、出来上がりはもっと短くなります。 20mに達しないものもありました。折り畳む場合と違って、握って細くしているので、アルミがくしゃくしゃになるときに長さ方向にも縮むからです。同じアルミホイルから3本のアルミ紐を作りましたが、全部長さが異なっていました。


アルミ紐による傘ループアンテナ

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アルミ紐を傘に巻いたところです。厚手のクッション材が使われている両面テープを傘に貼っておき、そこにアルミ紐を巻いていきました。


同調コイルとしての性能

アルミ紐の長さが20mくらいですと、巻き数が7.875回でインダクタンスの実測値は76μHにしかなりません。ビニール電線25mで作ったループアンテナは巻き数が約11回で、インダクタンスは130μHくらいになりますので、結局、巻き足して11回になるようにしました。長さ22mのアルミホイルでしたが、残念ながら折り返し無しは無理のようです。インダクタンスの実測値は117μHでやや小さめでした。ビニール電線のときより電線間隔が空いてしまうので、それが原因です。

ちなみに691.83kHzにおけるインダクタンスの実測値は119.1μHで、直列抵抗は3.20Ωでした。Qは162となります。ビニール電線(KV0.3)を用いた場合のインダクタンスと直列抵抗の一例を「 2010年度版傘ラジオ製作テキスト 」に示しています。同じ周波数で、インダクタンスが129.1μH、直列抵抗が3.77Ω、Q=149でした。ということはQは少し良いくらいで、アルミ紐でも全く問題なく使えることが分かります。実際、傘ラジオの状態に組み上げたときも差異は感じられませんでした。

中波放送の周波数帯では、表皮抵抗の影響がありますので、インピーダンスの直列抵抗分(実部)は直流抵抗よりも大きくなります。アルミニウムは銅よりも導電率が劣りますが、アルミ紐は表面積が大きいので表皮抵抗の面で有利となり、導電率が低いのを補う形になっています。また、今回は22mで一旦切ってしまいましたから、11回まで巻き足した分は追加するアルミホイルを10cmほど重ね合わせてから握り直しています。圧着というところまで行っていない様な接触状態ですが、上記のような性能が得られています。

こうしてみると、25mを一続きにしないで継ぎ足し方式にしたとしても案外いけるのではないかと思いました。接触部分の酸化など経時変化があるかもしれませんので今後も調査を続けます。