LED発電を利用したトランジスタ検波傘ラジオ

光を当てたLED:定電流領域で用いる:能動負荷として働く

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ゲルマニウムダイオードを外して、代わりにトランジスタ1個とLED1個を追加すると、とてもよく聞こえるラジオになります。 その意味で、傘ラジオが良く聞こえない地域の方に試していただきたいと思っております。 構造的にはゲルマラジオに次ぐシンプルさを持った面白ラジオです。

ここに示した回路は,当ホームページでは新しいものではなく、 旧傘ラジオホームページ内にある、 LED検波ラジオの説明の後半で、すでに紹介したものです。 公開したのが2007年と古いので、人の目に留まらない位置に押し出された形になっているので、掘り起こした次第です。

そこでは、 このような回路図で表現していましたが、 それをシンプルに見えるように書き直したのが右の回路図です。 (一時期、ミスがある図を公開していました

この回路は、トランジスタをコレクタ接地にして検波に用いた回路です。エミッタ抵抗だったところを、定電流源による能動負荷に置き換え、その定電流源には光を当てたLEDを採用しています。

この回路では、トランジスタのエミッタ・コレクタ間電圧がベース・エミッタ間の順方向電圧以上になることは無いため、LEDに光を当てたときは定電流領域でしか動作しません。

LED4駆動トラ検ラジオ(クリックで拡大)

LEDがいくら超高輝度でも1個だけでは発電電流が小さく、外の直射日光が当たるところでなければよく聞こえません。 そのような時は、ここに示すようにLEDを並列につないで電流を増やせば良いのです。 これなら曇り空でもなんとかなります。

トラ検ラジオブレボ(クリックで拡大)

実際に作ったものがこれです。目玉クリップに小さなブレッドボードをネジ止めして、その上で配線しました。

この実験に使ったLEDは次の通りです。

LED8駆動トラ検ラジオ(クリックで拡大)

LED8駆動ブレボ(クリックで拡大)

更に奮発して、8個並べますと、室内の蛍光灯でもかろうじて聞こえるようになってきます。

こうなってしまうと、最早ラジオの回路図には見えません。

太陽電池電流源駆動トラ検ラジオ(クリックで拡大)

太陽電池電流源駆動ブレボ(クリックで拡大)

そこまでして発電させたいなら太陽電池にした方が良いのでは?

はい!その通りです。

太陽電池は、傘ラジオホームページの常套手段・100円ショップで購入したソーラー電卓から取り外して使います。 旧傘ラジオホームページ内にある、 100円ショップの電卓を徹底利用で、すでに紹介した方法です。 太陽電池だけを使います。これを用いると室内でも生活に必要な光量があれば良く聞こえるようになります。

PDF版資料は⇒こちら

忘れてはならない大事な点は、太陽電池を定電流領域で動作させる必要があるということです。 そのためにはこの回路のトランジスタC-E間電圧(=B-E間電圧=0.6[V])より高い電圧の太陽電池を用意する必要があります。 多結晶Si太陽電池セルは1セル当たりの起電力が約0.5[V]ですから、2個以上直列につながったものが必要です。

電卓の太陽電池は4セルの直列接続ですから、起電力は約2[V]であり、上記の条件を満たしています。

もう一つ大事な点は、電流源としての電流値が無駄に大きくない、適正な値であることです。 この電流源は能動負荷として働くと言いましたが、その動作に踏み込んで述べるなら、ここは包絡線検波の放電電流を決めています。 抵抗による指数関数的な放電ではなく、電流源による直線的な放電です。 電流値が大きすぎると包絡線検波波形は得られず、単なる半波整流波になってしまいます。

ソーラー電卓の太陽電池は上記の条件にうまい具合にフィットしています。 大きな太陽電池を持って来ても音が大きくなるわけではありませんので注意してください。

また、基本的なこととして、この実験は太陽電池限定の実験となります。 乾電池など他の電池では不可能ですし、素子の破壊や電池の過熱を起こしますから、この点だけはくれぐれも注意してください。 短絡電流が規定できる太陽電池だからできる方法なのです。

太陽電池でトランジスタ検波を行った例は、2007年に 旧傘ラジオホームページ内の、 「コレクタ接地トランジスタ検波について」 のコーナーで既に紹介しています。 但し、そこで紹介した方法は太陽電池を電圧源として働かせ、エミッタ抵抗を用いた包絡線検波としています。 抵抗一本の差しかありませんが、少し考え方が違います。

太陽電池に直列にエミッタ抵抗をつないだ回路では、光量が十分大きい時は、電圧源と抵抗による受動負荷として動作しますが、 光量が減ってくると電流源による能動負荷としての動作に移行します。