シリコン汎用ダイオードによる検波


シリコン汎用ダイオードを傘ラジオのゲルマニウムダイオードの代わりに用いた場合、音は聞こえません。 その理由として、順方向の立ち上がり電圧が0.5〜0.7Vと高いことに目を奪われがちですが、実はもう一つ理由があります。

それは、シリコンのPN接合のダイオードは逆方向電流が非常に小さいからです。 包絡線検波回路の構成要素は検波用ダイオード、静電容量、放電抵抗の3つですが、傘ラジオでは、静電容量はクリスタルイヤホンの静電容量を利用し、放電抵抗は検波用のゲルマニウムダイオードの逆方向特性で代用しています。つまり、ゲルマニウムダイオードの逆方向電流を放電電流として利用しているのです。
ゲルマニウムダイオードの逆方向電流はμAのオーダといわれています。これに対しシリコンダイオードの逆方向電流はnAのオーダです。このため、シリコンでは静電容量に溜まった電荷が抜けないので、振幅変調波の振幅包絡線に追従できず、クリスタルイヤホンの両端電圧は直流となります。
これは、例えば非常に電界が強いところで、ダイオードの順方向電圧を超えるような振幅が得られたとしても起こります。

なお、ダイオードの特性において、順方向の立ち上がり電圧を低くすることと、逆方向電流も小さくすることの2つは両立しません。
逆方向電流が小さいダイオードは順方向の立ち上がり電圧が大きくなってしまうし、順方向の立ち上がり電圧が小さいダイオードは逆方向電流が大きくなってしまいます。これはダイオードの整流特性から導かれます。
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